眠ろうと横になると、今まで何ともなかったのに心臓がドキドキして苦しいような症状は、そのときだけだから気にしないという人も中にはいるかと思います。
ですが、耳触りである心臓がバクバクしている音や振動は、違和感から眠れない場合もあり放置せずに改善させていくことが大切です。どのように症状を改善させるかは、引き起こしてしまった理由を理解しなければなりません。
そこで、夜に心臓が苦しくなったり、痛いといった症状の正体について、疑われる理由をいくつかご紹介していきたいと思いますので、夜の不快な違和感を軽くさせるためにも、原因を探っていきましょう。
心臓のドキドキする違和感は「動悸」といわれるものです
突然ドキドキと鼓動が早くなったり自分の心臓の動きを感じドクンという一回ごとの心臓の収縮が大きくなる動きがある場合、それは動悸と呼ばれ、必ずしも心臓の鼓動が速くなるとは限らず、通常の脈拍数や、それよりも少ない徐脈の時にも起こります。
動悸というのは自律神経と関わりがあり、この神経は主に交感神経と副交感神経の2種類の神経を交互にバランス良く作用させて、体の中の働きをコントロールしている神経です。
人間の体は緊張を感じると、その状態から体を守ろうとして交感神経が働き、体の動きが活発になり体内の複数の臓器からホルモンが分泌されます。その成分はやがて血糖値や心拍数を上げることにより呼吸を激しくさせたり動悸を起こさせます。
ここで疑問なのが、心拍数を上ることと、緊張から身を守ることの繋がりどのようになっているのでしょうか?
耳にしたことがある人も多いかと思いますが、緊張すると分泌されるホルモンのひとつにアドレナリンという物質があります。
このアドレナリンは「火事場の馬鹿力」なんていわれるときに出ている物質で、普段出すことのできない実力以上のパフォーマンスを行える可能性を高める効果があり、正に緊張している場面において、失敗ということから体を守っているとも言えますね。
このように、通常時の動悸は大切な人間の防御反応なのです。
夜に苦しい動悸の原因は?
動悸自体は緊張したり、運動後などであれば正常な体の反応ですので、特に心配することはありません。しかし、このような理由もなく動悸が引き起こされているのであれば、何らかの異常が体の中で起きているものと考えられます。
夜というのは、体を休ませるために副交感神経系が働く時間なので、普通に過ごしていれば動悸が起こることはありません。
しかし、夜に何もしていないのに動悸が急に起こることもあり、比較的に起こりがちなのが精神的な理由と、飲み物などの摂取により交感神経を優位にしてしまい、上述したように体の防御反応により動悸の症状があらわれます。
精神疾患などによるもの
ストレスや不安を抱えていると自律神経のバランスが乱れてしまい、自律神経失調症となってしまうことがあります。
この状態は交感神経と副交感神経系がうまく作用しなくなり、夜に働く副交感神経よりも体の動きが活発になる交感神経の方が優位になり、動悸を引き起こすこともあります。
また、自律神経失調症はパニック障害を併発していることが多く、この病気は些細なことでも大きな不安に感じやすい症状があり、非常に動悸があらわれやすいです。また、動悸を引き起こした際に過呼吸を同時に起こしてしまうことも多いです。
交感神経を活発にするものを摂取
精神疾患よりも当てはまる人が多いと思われるのが、アルコールやコーヒーを寝る前に摂取したために、交感神経を優位にさせてしまい動悸が起こってしまう場合です。
一般的にコーヒーは眠気覚ましに飲まれているので、夜間は控えているという人も割と多くそれほど当てはまらないかも知れません。しかし、アルコール類は夕食時やお風呂上がりに必ず飲む人はかなり多いはずです。
ちなみに、喫煙でも交感神経を優位にさせてしまいますので注意が必要です。習慣になっている方の場合、突然やめるのはなかなか難しいですが、動悸の症状の頻度が多いのであればせめて寝る前だけでも控えるようにしてみましょう。
動悸で胸が痛いときは心臓の病気の疑いも!
交感神経の働きによって起きる夜の動悸についてご紹介しましたが、もちろんこれ以外にも、肉体的な疾患によって寝る前や睡眠中に動悸が引き起こされる可能性もあります。
低血糖や更年期障害、そして心臓疾患によっても動悸を引き起こすことがあり、特に狭心症と動悸は深く関わっております。
狭心症とは?
心臓は身体中に血液を送り出すポンプのような働きをしていますが、その血液の流れが何らかの理由で滞ってしまい、動悸や胸の痛みとなってあらわれるものが狭心症という病気です。
狭心症にはいくつかの種類があり、心臓へ血液を届ける際に通る血管の異常の違いによって病名が分かれています。
安静時狭心症・冠攣縮性狭心症
睡眠時に突然胸が締め付けられるような苦しさを感じたり、押し付けられているような胸の痛みを感じます。
安静時狭心症の症状は心臓の冠動脈がけいれんを起こして血管が一時的に細くなり、血液の流れが悪くなり痛みなどがあらわれます。このような冠動脈の一部がけいれんをしてしまうことを冠攣縮(かんれんしゅく)といい、冠攣縮性狭心症も、同じ症状を指しています。
このけいれんが起きるメカニズムは交感神経が関係していることや、急激な体温の低下による刺激などでも引き起こされます。そのため特に冬場は特に冷え込む夜や、明け方の時間帯に胸痛で倒れてしまう方も少なくありません。
微小血管狭心症
安静時狭心症は大きな冠動脈が主な原因となっている狭心症ですが、微小血管狭心症は心臓にある小さな血管がけいれんを起こしてしまうことにより、胸が痛むなどの症状があらわれます。
実はこの病気は検査を行なっても異常が出にくいため、見つかりにくいことや、病気として知られるようになってから日が浅いため、受診しても特に問題無いと診断されてしまうこともあるようです。
症状は締め付けられるような胸の痛み、心臓が針で刺されるようなチクチクするように感じたり、息が詰まるように感じることもあるようです。これらの症状は常に一定ではなく、激しく痛むこともあれば、それほど痛むこともなかったりと必ず同じではないのが特徴です。
まとめ
夜の動悸は深刻な痛みではない場合がほとんどですが、体からの警告として引き起こされている症状です。軽視せずにしっかりと受け止め改善させていきましょう。
特にストレスは自律神経と密接に関わっていますので、溜め込んでしまうと動悸の症状以外にも、もっと深刻な鬱へ進行してしまうことも十分あり得ます。適度に休養したり、しっかりと睡眠を取るよう心がけて、体を不用意に緊張状態にさせないことが大切です。
心臓の病気の場合は激しく痛むこともありますので、変だと感じたら循環器内科などへ受診するべきです。命に関わる大切なことですので後回しにせずに、早めに病院で検査してもらいましょう。
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